2025年、米国向け発送を行うすべてのセラーにとって避けられない「大変革」が始まりました。

これまで「800ドル以下なら関税なし」で気軽に販売できた米国市場ですが、7月30日の大統領令により デミニミス・ルールは撤廃。8月29日からは1ドルの商品でも関税対象となりました。

さらに追い打ちをかけるように、10月17日からは日本発の米国向け取引(2,500米ドル未満)においてDDP発送が完全義務化
つまり「関税はバイヤー負担」ではなく「セラー負担」が大前提になります。

「今の価格設定で関税を負担したら赤字になるのでは?」
「DDUで発送したらどうなる?」
といった疑問や不安を抱えるセラーも多いはず。

実際、DDU発送を続ければ「商品未着」のケースがセラー不利で終了したり、Negative/Neutral Feedbackが削除不可になったり、最悪はアカウント制限につながるリスクがあります。

逆に、SpeedPAKを活用しDDPを正しく運用すれば、バイヤーに「追加費用なし」「安心して買える環境」を示せ、むしろ販売力を高めるチャンスにもなります。

本記事では、デミニミス撤廃とDDP義務化に伴うSpeedPAKの最新仕様と、セラーが取るべき具体的な行動をわかりやすく解説します。

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デミニミス撤廃とSpeedPAK新ルールを解説

■ デミニミス撤廃とは?

これまで米国向け越境ECにおいて大きな支えとなっていたのが「デミニミス・ルール」。
これは「一定額以下の輸入品には関税を課さない」という制度で、アメリカの場合は 1件あたり800米ドル以下なら関税免除 という非常に大きなメリットがありました。

この仕組みがあったからこそ、セラーは少額商品でも気軽に販売でき、バイヤーも「関税を気にせず買える」安心感を持って取引できていたのです。

しかし、2025年7月30日に発令された大統領令によって、この制度は大きく方向転換。
2025年8月29日から完全撤廃 されることが決まりました。

結果として:

  • 800ドル以下の商品でも関税が課される
  • すべての貨物(国際郵便を除く)に輸入申告書類の提出が必要

となり、米国向け取引のハードルは一気に上がったのです。

つまり「小さな商品だから大丈夫」という時代は終わり、すべての取引が通関・関税の対象になったということです。


■ SpeedPAKのサービス範囲・要件の変更

デミニミス撤廃により、関税トラブルや通関遅延が爆発的に増えるリスクが高まりました。
そこでeBayは公式配送サービス SpeedPAK を調整し、DDP(Delivered Duty Paid)発送を基本条件にしました。

これにより、「関税はセラーが負担」「バイヤーはチェックアウト時に支払った金額だけで受け取れる」形がスタンダードになります。


■ DHL / FedEx 経由(SpeedPAK-Ship)

  • 2,500米ドル未満:DDP必須
    → 少額取引はすべてセラーが関税を負担する必要があります。
  • 2,500米ドル以上:DDPまたはDDU選択可
    → 高額商品の場合は従来通りバイヤー負担(DDU)も選択可能。
  • 申告価格制限なし
    → 商品価格に上限はないため、高額商品も取り扱えます。

■ SpeedPAK Economy

  • 対象は1,300米ドル未満の商品
    → 少額・中額商品の発送専用ライン。
  • DDP必須
    → すべての取引でセラーが関税を負担します。
  • 同一SKUの合計申告価格は1米ドル以上
    → 「1ドル未満」としてまとめることはできません。正しい価格を申告する必要があります。

■ 申告要件

SpeedPAKを利用する上で、輸入申告の精度も強化されました。

  • HTS10桁コードの入力が必須
    → HTS(Harmonized Tariff Schedule)は関税分類コードで、誤申告すると「遅延」や「罰則」の対象に。
    → CPaSS上で商材名を入力すれば該当コードを検索できます。
  • 原産国はすべて対応
    → ただし「米国原産品」と「他国原産品」を同梱することは不可。


■ Orange Connex社:料金変更について

SpeedPAKを提供している Orange Connex社 では、今回のデミニミス撤廃とDDP義務化に伴い、サービス料金体系や決済方法の見直しが行われています。

特に注目すべきは、関税+DDP手数料の合計負担が15〜18%程度になる という点です。
これは単なる送料の値上げではなく、「バイヤーの代わりにセラーが負担する新しいコスト」として加わるものです。

たとえば:

  • 商品価格100ドル → 関税・DDP手数料で約15〜18ドルの追加コスト
  • これを商品価格に上乗せするか、送料に含めるかはセラーの判断次第

また、支払い方法についても 「まとめ払い」ユーザーと「都度払い」ユーザー で異なる改定があるため、利用中の決済方式に応じた確認が必要です。
👉 詳細はOrange Connexの公式案内ページにて公開されています(まとめ払い向け・都度払い向けリンクあり)。

このように「新しいコスト構造」を理解した上で、価格戦略を組み立てることが、今後の米国販売で利益を守るポイントになります。

■ SpeedPAK DDPを使うメリット

「関税負担が増えるならセラーにはマイナスでは?」と思う方も多いでしょう。
ですが実際には、SpeedPAKでのDDP発送はセラーにとって大きな武器になり得ます。

1. バイヤーに「追加費用なし」を保証できる

SpeedPAK DDPを利用すると、商品ページとチェックアウト画面に以下の特別なメッセージが表示されます:

This item includes applicable import fees—you won’t pay anything extra after checkout.

この一文は強力です。
バイヤーにとって「受け取り時に思わぬ請求が来ない」という安心感は、購入ボタンを押すか迷う瞬間に大きな後押しになります。

つまり、購入率の向上につながる直接的なメリットが得られるのです。

2. 配送のスピードと正確性

DDU発送だと、税関でバイヤーへの請求や確認作業が発生し、通関が滞るケースが少なくありません。

一方、DDP発送では:

  • 税関での追加手続きが不要
  • 配送がスムーズに流れる
  • eBay上の配達予定日が正確に反映

この結果、バイヤーには「予定通り届く」「早く届く」という体験を提供できます。
配送速度がアピールポイントになる米国市場では、これは大きな差別化要因になります。

3. トラブル削減とアカウント保護

DDPを導入することで、以下のリスクを大幅に減らせます:

  • 「未着(Item not received)」ケースの減少
    バイヤーが「関税を払わなかったから受け取れなかった」という事態を防げます。
  • 受取拒否・返送リスク回避
    関税請求を理由に受取拒否されることがなくなります。
  • Negative/Neutral Feedback防止
    「関税がかかった!」「話が違う!」といった低評価を防止可能。

結果的に、セラーアカウントの健全性が保たれ、長期的な販売活動を守ることにつながります。

セラーがやるべきこと:具体的アクションガイド

① 価格の調整

DDP発送では、関税・税金・DDP手数料をセラーが負担します。その負担額は 商品価格の15〜18%前後 が目安です。

このコストをどう価格に反映させるかは戦略次第で、大きく2つの方法があります。

  • 商品価格に含める
    👉 バイヤーには「送料が安い/無料」と見える。
    👉 ただし、eBayの販売手数料(Final Value Fee)は商品価格に対して発生するため、手数料負担がやや増える可能性あり。
  • 送料に含める
    👉 商品価格は据え置きできる。
    👉 「送料が高い」と見られるリスクあり。

どちらが良いかは商品カテゴリや競合状況次第。
たとえば「送料無料」が当たり前のジャンルでは商品価格に含める方が有利。一方で「価格比較されやすい商品」では送料に含める方が戦略的です。

また、一括で価格調整を行いたい場合は、Seller Hub → Listings → Active → Edit から最大2,000件まで一括修正が可能。大量出品セラーは必ず活用しましょう。

② Shipping Policyの設定

ここが最大の落とし穴。
SpeedPAKをShipping Policyに設定しないと、あの「This item includes applicable import fees—you won’t pay anything extra after checkout.」というバイヤーに安心を与えるメッセージは表示されません。

つまり、DDPを使っていてもShipping Policyを正しく設定しなければ、最大のメリットを捨てているのと同じ。

  • 出品ごとに個別設定ではなく、Shipping PolicyでSpeedPAKを指定
  • 特に複数出品のあるセラーは、必ずポリシーを統一して設定

これだけで、購入率が大きく変わる可能性があります。

③ eBaymagでの価格管理

複数国に販売しているセラーにとって便利なのが eBaymagの価格調整機能

  • 米国サイトだけ価格を引き上げることが可能
  • UKやEUなど他国の価格はそのまま維持できる
  • 関税分だけを米国価格に反映できる

たとえば:
「USサイトの商品価格+15%」「EUサイトは据え置き」という設定が可能になるため、国ごとの販売戦略を柔軟に組める のが強みです。

ただし注意点として、eBaymagで 手動で価格を個別修正した場合は、この一括調整が効かなくなることがあります。運用ルールを明確にしておくことが大切です。

CPaSSで関税見積もり確認可能に

セラーが最も悩むのが「実際にどのくらい関税がかかるのか」という点。
これを解決する仕組みとして、2025年8月26日(Economy)および8月29日(DHL/FedEx)から、CPaSS上で「推定関税額」が表示される機能が導入されました。

発送手続き画面の見積時に「Estimated U.S. Duty & Tax」を確認できるため:

  • 出荷前に関税負担額を大まかに把握できる
  • 価格設定の根拠に使える
  • セラー自身の利益計算に役立つ

もちろん「推定」であるため実際と完全一致するわけではありませんが、価格戦略を立てる上で大きな指針になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 関税は誰が負担するの?

DDPではセラー負担です。バイヤーは購入時の支払いで完結し、受取時に追加費用は発生しません。

Q2. 米国以外ではどうなるの?

→ 今回の変更は米国宛て発送のみが対象。EUやUKなど他国宛てでは、これまで通り DDU発送も利用可能 です。

Q3. eBayの販売手数料は?

DDP分を商品価格に含めた場合、その金額にもFinal Value Feeがかかります。
つまり、関税分を商品価格に含めると手数料も増えることに注意が必要。送料に含める方法を選ぶセラーがいるのはこのためです。

まとめ:セラーが今すぐ動くべき3ステップ

  1. 価格調整:関税・手数料を15〜18%見込んで価格設計
  2. Shipping Policy設定:必ずSpeedPAKを指定して「追加費用なし」を表示させる
  3. eBaymag活用:米国サイトのみ価格調整し、他国価格は維持

さらに、CPaSSの推定関税額チェックを活用して、出荷前に利益計算を確認しましょう。

この準備を怠ると赤字リスクやトラブル増加につながりますが、正しく対応すれば「追加費用なし」「配送が早い」という強力な武器を手にできます。

■ Family Shipping ServiceはSpeedPAKに対応しているので安心

今回のDDP義務化やSpeedPAKルール変更を聞いて、
「今使っている代行サービスは大丈夫かな?」
と不安になった方も多いかもしれません。

ご安心ください。Family Shipping ServiceはすでにSpeedPAKに対応済みです。

  • DDP発送にも問題なく対応
  • CPaSS連携による関税見積り確認も可能

つまり、セラーが新ルールに悩むことなく、これまで通りスムーズに米国向け発送を行える環境が整っています。

👉 今回の制度変更は大きな転換点ですが、信頼できるパートナーを活用すれば不安を安心に変えられるはずです。

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